(平成11年10月5日 総理官邸にて)修文

この度の小渕内閣第二次改造に伴い、文部大臣及び科学技術庁長官を拝命致しました。
教育と科学技術は、どちらも国の発展に欠かせない、まさに車の両輪のようなものであり、非常に重要なものです。しかしながら、現在、そのどちらもが大きな課題を抱えており、私と致しましてはこのような重責を拝命し大変身の引き締まる思いです。
就任にあたり、まず、9月30日に茨城県東海村で起きましたウラン加工工場の事故に関して申し上げます。この度の事故はJCOという民間会社により引き起こされたものですが、現地の住民の方々のご心労は大変なものであり、また経済的な損害も非常に大きなものであると思います。また全国の国民の皆様にも大変なご心配をお掛け致しました。これはまず当該の会社に大きな責任があることは言うまでもありませんが、科学技術行政を担当する私と致しましても、大変に厳しく受け止めているところです。今後、この事故の原因究明に全力を尽くすとともに、法整備を含め徹底した再発防止策を講じていきたいと考えております。また、政府対策本部の本部長である小渕総理からのご指示でもありますが、この事故により被災されたり、また色々とお困りになっておられる方々に対するご支援を含めて、私も全力で取り組んでまいります。
この事故によって原子力に対する信頼が著しく失墜致しましたことは大変に残念なことであります。現在の日本の電力の3分の1強は原子力発電によってまかなわれており、原子力発電によって得られる電力は、国民生活を支え、日本の経済活動の大きな部分を占めているものであり、我が国にとって欠くことのできないものです。様々な代替エネルギーの開発も進められておりますが、まだまだ原子力に取って代わるには程遠いものであります。このような状況からも、原子力の重要性を国民の皆様に正しく説明し、原子力に対する信頼回復に全力で取り組んでいかなくてはならないと考えています。国民の皆様に原子力をご理解頂き、安心して頂くために、科学技術庁とともに原子力行政を所管する通産大臣とも協力し、原子力関係の防災対策の新法制定や原子炉等規正法の改正等を至急検討してまいります。
なお、科学技術庁としては、従来から強力に進めてきた宇宙開発やライフサイエンスという大きな課題があります。何れも将来の新たな技術開発や生命の根幹にかかわる基礎的研究であり、人類の平和と発展に資することの出来る重要な分野であります。日本は世界の指導国としてこれらについても積極的に推進していく義務があり、引き続いて全力で取り組んでまいります。