2011年6月21日 東京電力株式会社取締役会長 勝俣恒久様 首都圏広域放射性物質汚染の原因者であることを認め、測定と除去に責任を持つことを求める要望書(第87回株主総会事前質問) 株主 朝倉幹晴(首都圏広域放射性物質汚染対策・東電株主の会代表、船橋市議(無党派)) 3月11日の、福島第一原子力発電所事故に関する責任・補償・対処全般については、最大の被害地区である福島への対処を含め、様々な社会的議論があり、株主総会でも出されるその議論に注目してまいりたいと思います。 私は、「首都圏広域放射性物質汚染対策」という1点に絞って質問させていただきます。 御社の基本姿勢は、株主総会開催案内に同封され、HPに掲載された「平成22年度報告書」に記されています。 「福島第一原子力発電所におきましては、放射性物質の外部への放出により発電所周辺地域の方々の避難や農畜産物・水産物の出荷制限等の事態を引き起こしたうえ、今なお原子炉や使用済燃料プールの安定的冷却状態を確立できていないなど予断を許さない状況が続いております。これにより、株主のみなさまはもとより、立地地域のみなさま、さらには広く社会のみなさまに大変なご迷惑、ご不安をおかけしておりますことを改めて深くお詫び申し上げます。」(「株主のみなさまへ」) p26にわたる事業報告書の中で、「株主のみなさまへ」の反省の言葉はありますが、国民・社会に対して反省した言葉はここのみであり、今回の事故が国民に多大な不安を与えていることに対する言及としては明らかに不十分ではないでしょうか? さて、国民にとって不安なのは、日本全国の放射性物質の汚染による健康影響であり、とりわけ、3月15日ベント時に首都圏に向けての風の流れ、3月21日の雨による放射性物質の定着を原因とする首都圏広域汚染です。週刊誌には首都圏広域汚染の報道が続けられ、最近でも以下のような記事が出されています。 ・7月2日付 週刊現代 日本全国「放射の汚染」地図 ・6月27日付 AERA 「千葉・柏」35ヶ所を測る 私自身も千葉県船橋市の放射性物質汚染の状況をシンチレーション式サーベイメーターで測定し、柏に近い北部の線量が高いことを確認しています。 (http://www.at-ml.jp/?in=56731に結果と船橋市放射線線量地図掲載) 今小学生・保育園・幼稚園保護者含む子育て世代の中で首都圏広域汚染に対する不安が広がり、GM管を自費購入した市民による自主的な測定が始まっています。一部測定を始めた自治体もありますが、自治体によって対応の温度差があり、子育て世代の中で、自治体の対応に対する不満も広がっています。自治体にとっては、放射性物質による広域汚染は防災計画などに想定されておらず、十分な対処ができていません。 しかしこの混乱の責任は、「原子力発電は事故を起こさない」ことを前提とした国の政策と東京電力の広報に第一義的な責任があります。 御社は「連結注記表」p29で、「原子力損害の原因者であることを真摯に受け止め」としておりますが、それは避難を余儀なくされた福島の被害者のことに限定して記述しています。もちろん福島の被害者の対策が優先させてしかるべきですが、放射性物質が飛来した全地区、とりわけ高濃度汚染が見られる首都圏住民全体が、御社の原子力災害の被害者であることをしっかりと認め、対策を行うべきです。 株主総会において、首都圏を中心とした広域放射性物質汚染」の原因者であることを認め、それに対する対策に責任を負うことを表明すべきと考えますがいかがでしょうか? 首都圏広域汚染については対処の国の方針が十分には示されていません。私たちは国に統一的な対策を求めていきますが、同時に一番の原因者である東京電力が、責任を持つべきと主張します。茨城県高萩市が放射線量測定費を東京電力に賠償請求したのは当然のことであり、本来は東京電力のほうから測定器の配布を行うべきです。 御社が報告書p9で述べている「国民のみなさまに安心して生活していただけるよう全力を尽くしてまいる所存」のためには、この首都圏広域放射性物質汚染に対する調査・対処に御社が責任を持つことが不可欠はないでしょうか? 具体的には、以下5点の要求をいたします。株主総会でご見解をお示しください。 1、東京電力の責任で首都圏の自治体、放射線量測定を求める学校・園・福祉施設などに放射線測定器を配布すること。 2、すでに自治体・学校・園・福祉施設など独自で購入した場合は、その実費を支払うこと。また、個人で放射線測定器を購入してそれを社会的に公開した市民に対しては、その調査は、本来原因者である東京電力が実施・公開すべき内容を代行したと考え、その購入実費を支払うこと。 3、国・自治体と協議し、首都圏全域に精密・統一的・こまめな測定とその公表方向を確立すること 4、汚染物質については、各汚染地区により具体的な対応の仕方は異なるが、できるかぎり東京電力が処理に責任を持ち、引き取るここと。 5、汚染物質について、東京電力が引き取ることが困難あるいは他の処理方法のほうが合理的と考えられるものについては処理の費用を東京電力が自治体はじめ処理実施者に出すこと |