2011年9・12月船橋市議会「中学における武道必修化に関する陳情」の議論を終えて

    文教委員(副委員長) 朝倉幹晴

今回、9・12月市議会に連続して「中学校の武道必修化に関する陳情」が提出された。
内容は多岐にわかるが、私なりにまとめると、以下の4点に集約される内容である。
(正式な文面は市議会HPの陳情でご確認ください)
@武道必修化を、競技や試合中心でなく、「礼にはじまり礼に終わる」伝統文化を知る機会としよう。
A事故防止対策をしよう
B3武道(柔道・剣道・相撲)を均等に扱おう
(Cが否決された後で、12月議会に両論の1つとして提出された)

C現代9武道(柔道 剣道弓道 相撲道 空手道 合気道 少林寺拳法 なぎなた 銃剣道)を均等に扱おう

●私(市民社会ネット)の基本的な姿勢と態度
@ABの部分には賛成で、Cは限られた時間や指導者の元では無理なので反対。
したがってCに限定した陳情には反対、限定していない陳情には賛成しました。この賛否は会派(池沢敏夫市議・浦田秀夫市議・三宅桂子市議・私)としての一致意見でした。

●武道に関する付帯意見(主な私の発言)
@「エホバの証人」など宗教上の理由で、武道を拒否する考えの生徒がいる。なんらかの事情で武道を拒否する生徒には参加せずに見学する自由を担保すべきである。

→(教育委員会答弁)今までもその方針の生徒はいて、見学させた。今後もそのような配慮はする。

A私も高校の時、体育の授業で柔道を経験した。武道は精神は集中させながらも、体の緊張については力を入れる時期と、力を入れない時期(間(ま))が絶妙に入れ替わることが、西洋系の競技スポーツの試合時間・休憩の繰り返しにはない絶妙さではないかとの仮説を持っている。「間(ま)」や「脱力」という観点からいうと演劇の竹内レッスンの基礎となった野口体操(野口三千三)や、日本伝統の治療法を集大成した野口整体(野口晴哉)、また最近スポーツの世界で注目されている「ゆる体操」など脱力系・不随意運動系の動きも大切であろうかと思う。
    「間」や「力を抜く」観点が入った武道教育を出発に、更に脱力系の世界にも進んでいくきっかけとしてほしい。
→(教育委員会答弁)そのような視点は今のところ、学習指導要領にないが研究させていただく。

B武道の力の入れ方や呼吸法の会得は、介護における力の入れ方や健康法としての呼吸法につながる可能性ある。そのような視点も交えて教育をしてほしい。
→(教育委員会答弁)そのような視点は今のところ、学習指導要領にないが研究させていただく

●武道と整体をつなぐ視点を考えるにいたる背景
(発言はしませんでしたが・・・)

 私は理論的には分子生物学に基礎を置く。しかしながら、「からだ」の動きの持つ独自な世界に関し、関心を持ち続けてきた。もっとも注目したのが、
野口晴哉の思想と実践である。
 駿台予備学校市ヶ谷校(医学部受験生クラス)で小論文講師であった永沢哲さん(現京都文教大学准教授)が「野生の哲学〜野口晴哉の生命宇宙〜」(ちくま書房)の著作にあるような、野口整体の研究者であったことにも触発された。
 また、その後、船橋市民である平橋数樹さんが極真空手家としての体験から野口整体の実践に入られた経過をお聞きすると、武道の間・呼吸が整体の操法に通じていることを感じた。
船橋全生治療院
http://e-seitaiin.com/in.htm

ただ野口整体だけを紹介するのは文教委員会の発言としては不十分なので、
野口体操(野口整体とは別)・ゆる体操なども紹介させていただき、脱力系の動きというくくり方をさせていただいた。
 なお竹内レッスン(野口体操に基づく竹内敏晴の演劇理論に基づく演劇レッスン)は、一度だけその稽古に参加したことがあるが、脱力しきることがいかに難しいかを感じた。

あくまでも普段、武道の実践をしているわけでもなく、野口整体・野口体操にもずっと深くはかかわっているものではない者の意見として差し引いてお聞きください。ぜひご意見・ご感想をお聞かせください。





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