130年作り継がれるオムレツ





フランスに
「西洋の奇跡」と呼ばれ
世界遺産で有名な
モンサンミッシェルがあります。

モンサンミッシェルは
カトリックの聖地と
なっている修道院で
海の岩山だらけの小島に
建っています。

今は橋がかかり、
いつでも行けますが、
昔は干潮の時しか島に行く道が
現れず、潮が満ちると完全な
孤島になってしまっていたそうです。



修道院の周りは
ちょっとした城下町の
ようになっていて、
土産物屋さんや
食べ物屋さんで
にぎわっています。



今から130年前、
カトリックの聖地である
モンサンミッシェルには
フランス中からたくさんの
巡礼者が訪れていました。

当時は今のように
車も電車もないので、
何週間も歩いて巡礼に
行かなくては
いけませんでした。




道中に強盗や山賊に
襲われる可能性もあれば、
夏は過酷な暑さ、
冬は凍える寒さを耐えねば
なりませんし、
その日の食事に
ありつけるかどうかも
わからない中、
進んでいくのが巡礼です。





まさに命がけの旅!
「モンサンミッシェルに
行くなら遺書を置いていけ。」
と言われていたそうです。









命からがら
モンサンミッシェルに
たどり着いた巡礼者たちは、
島内に1軒だけある、
プラーおばさんが営む
「ラ・メール・プラー」
という宿屋に泊まります。




宿屋の主人であり
シェフでもあった
プラーおばさんは、
命がけでやって来た
腹ペコの巡礼者たちを
元気づけるために、
豪華な食事を用意してあげようと
思いました。
しかし、モンサンミッシェルは
海に浮かぶ岩だらけの島で、
畑もないので野菜も十分に
用意できません。





でも、巡礼者たちを
少しでも満足させて
あげたいと思った
プラーおばさんは、
島内でなんとか手に入る
卵を使った料理を作ろうと
思いつきました。







その料理は卵を泡立てて作る
大きいスフレのような
オムレツでした。
その料理は話題となり
いつしかモンサンミッシェル
の名物料理となっていったのでした。






これがモンサンミッシェルの
伝統料理・スフレオムレツの
はじまりです。

モンサンミッシェルの
スフレオムレツの中には
「どうにかして
巡礼者たちを
もてなしてあげたい!」、
そんなプラーおばさんの
優しさが詰まって
いたんですね。